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第99回KPSIセミナー開催のお知らせ 「表面濡れ性を制御した近赤外フェムト秒レーザー描画法」

関西光量子科学研究所

開催日: 2023年06月19日

公開日: 2023/06/06
更新日: 2023/06/09
  • 京都府木津川市梅美台8-1-7

(セミナー概要)
講演者:サナサム・スンダーラール・シン氏, インド工科大学マドラス校 機械工学科,博士研究員 

レーザーは,濡れ性を調整するためにポリマー表面を改質するためのツールとして広く受け入れられている.ポリメチルメタクリレート(PMMA) [1] やポリイミド [2] などのポリマー表面に紫外線レーザーを照射することで、より親水性の高い表面を得ることができることは、よく知られている。これは、紫外線レーザーの光子エネルギーが、ポリマー分子の化学結合を直接切断するのに十分なパワーを持ち、それによって表面により多くの極性成分を解放するためである。しかし、さまざまな研究で、近赤外領域のフェムト秒(fs)レーザーを用いた濡れ性の調節について言及されており[3][4]、fs レーザーを照射することで、疎水性表面と親水性表面の両方を獲得できると主張している。一方、De Marco ら[5]は、レーザーエネルギーに関係なく、赤外波⻑のfs レーザーの作用は、専ら非濡れ性、すなわち疎水性の表面を作り出すと主張している。表面の化学的性質を変えるだけでなく、表面の形態を変えることでも、表面の濡れ性を変えることができる[3]。レーザー誘起表面濡れ性に関して、さまざまな種類のレーザーの調査について、さまざまな研究が報告されている。しかし、近赤外波⻑のfs レーザーを用いて、PMMA の表面の化学的性質を変化させることなく疎水性・親水性表面を形成する方法については、ほとんど報告されていない。
本発表では、近赤外波⻑のfs レーザーを用いて、PMMA に様々な濡れ性挙動を誘発させることを中心に議論する予定である。PMMA アブレーションの閾値の決定と入力プロセスパラメーターの最適化が講演のテーマとなる予定である。また、表面濡れ性に関連するfs レーザーによる化学的および表面モルフォロジー的変化の徹底的な分析も取り上げる。

HPリンク:https://www.qst.go.jp/site/kansai/kpsiseminar-98.html

【KPSIセミナーに関するお問い合わせ先】
関西光量子科学研究所 研究企画部
E-mail: kpsi-seminar[at]qst.go.jp([at]を@に変えてください)